第9回日本安全運転医療学会学術集会 


医療法人 敦賀温泉病院
理事長・院長
大会長 玉井 顯

 第9回日本安全運転医療学会学術集会を、福井県、敦賀市プラザ萬象にて2025年11月29日(土)に開催する運びとなりました。また、前日の28日(金)には、地域住民向けの講演会と従事者向けの研修会を開催いたします。敦賀は、古来より交通ネットワークの要として栄えた地であり、鯖街道や北前船の寄港地、鉄道の要衝として重要な役割を果たしてきました。新幹線もようやく昨年2024年3月16日に敦賀まで開通しさらにアクセスがよくなりました。この歴史ある地で本学会を開催できますことを、大変光栄に思います。
 今回の学術集会では、「高齢者、特に認知症に関する運転ネットワーク」をテーマに掲げ、脳内ネットワークに学び、国および世界、県、市町村レベルでの現状と課題、様々なレベルにおけるネットワークの視点から議論を深めてまいります。
 私たちが運転について考える際、まず注目すべきは脳のネットワークです。運転は、視覚・運動・記憶・判断など多くの脳機能が連携して成り立つ行為であり、そのメカニズムを理解することは、運転適性の評価や安全運転支援の発展に不可欠です。本学術集会では、高次脳機能や脳内ネットワークの基礎を学び、運転に関する脳の働きを整理するセッションを設けます。
 次に、運転を支える地域のネットワークに焦点を当てます。運転適性の評価や認知症と診断された際の対応は、本人や家族だけでなく、認知症疾患医療センター・警察署・自動車教習所・自治体・公共交通機関などの連携が重要です。特に地方では、免許返納後の移動手段が限られ、買い物や通院が困難になる問題も深刻です。地域単位で展開されている運転支援ネットワーク作りの現状と課題について議論したいと思います。
 本学術集会では、高齢者、特に認知症における問題点を脳科学から地域・県・国・世界に至るまで、あらゆるレベルでの交通ネットワークのあり方を考えます。さらに、敦賀市での交通ネットワークの事例等を通じて、未来の交通社会について議論します。医療関係者、自動車関連企業、研究者、行政関係者、法律家など、多職種の専門家が一堂に会し、最新の知見を共有しながら未来の交通社会を考える貴重な機会です。運転に関わるすべての皆様のご参加を、心よりお待ちしております。